腫瘍について
最近「ほくろ」が大きくなってきた・・・,皮膚に「おでき?」ができた・・・等
皮膚の表面の変化ははっきりとわかるため、気になります。このように正常な皮膚と異なった細胞が増殖する状態を腫瘍といいます。
通常はゆっくりと増大する良性腫瘍ですが、中には深部に進展したり遠隔転移をする悪性の皮膚腫瘍もあるので注意が必要です。
特に顔面は露出部(服などで隠れない部位)のため、紫外線を強く受けるため、皮膚癌が発生しやすい部位です。足のほくろも悪性黒色腫という皮膚癌との鑑別が重要になります。
酒井形成外科は形成外科専門医に加えて、皮膚悪性腫瘍専門医がおりますので、安心して診察、手術治療を受けることができます。

ほくろとは?
ほくろは,漢字では黒子と書きますが,本邦においては,数ミリの黒褐色〜黒色班の母斑細胞性母斑とよばれる母斑(かたまり)のことを示します。
表皮基底層のメラニン色素ならびにメラノソームの増殖がみられ、その実態は母斑細胞とよばれる細胞が増殖した状態です。
母斑細胞性母斑は、生まれつき存在する先天性色素細胞性母斑と、成長する過程で出現してくる後天性色素細胞性母斑にわけることができます。

後天性色素細胞性母斑は、成人では平均4.2個存在するといわれるほど良く見かける母斑で、表皮メラノサイトの良性皮膚腫瘍と考えられます。皮膚表面であればどこにでも存在します。
皮膚腫瘍の切除を形成外科的縫合法を用いて、極力目立たない傷痕で切除するための専門外来です。
良性皮膚・皮下腫瘍を対象としておりますが、良悪性がわからないものに対しても診断、治療を行なっております。
基本的には保険診療で行なっておりますが、美容外科手術と同様の技術を用いて行うため目立ちにくい傷痕で治療することが可能です。



ほくろの治療
切除法
もっとも基本的な方法で、母斑細胞を完全に切除する方法です。
切除の方法は、縫合時の皮膚のゆがみ(ドックイヤー変形)を調整するために、紡錘形(木の葉形)に切り取ります。

PDS糸という吸収糸で真皮縫合をしているところです

真皮縫合が終わったところです

縫合時には手術用拡大鏡を使用します。

術後経過は、通常手術をした翌日(術後1日目)に外来で診察を受けます。
感染や出血などの問題がない場合は、傷口を含めてシャワー浴が可能になります。
傷口の処置の方法はその時にご指導致しますので、1日1回自宅で処置をしていただくことになります。
抜糸は、通常顔面で7日後、その他の部位で10日程度です。
ただ、部位や場所によって変わることがございますので、担当医にご確認下さい。
くりぬき法
腫瘍部分をくり抜いて、自然に上皮化を待つ(創傷治癒)方法です。
大きさが小さい皮膚欠損(生傷)は、傷痕を残さずきれいに治るものとされています。
直径3mm以下の場合が適応となります。
傷の処置は、ハイドロコロイド材(市販されているものですと「キズパワーパッド」)を使用してご自宅で可能です。
傷痕が残らないといっても、軽度の陥凹が生じることと、傷が治るまでに時間がかかる(2週間程度)が欠点です。
くりぬき法
炭酸ガスレーザー(CO2 LASER)という10.6μmの波長を持つレーザーを使用して、蛋白および水分を蒸散させる方法です。
くりぬき法に近く、出血がなく、傷痕の残りが少ないのが利点です。
くり抜き法と同様にハイドロコロイド材での処置が必要となります。
欠点は母斑細胞が残る可能性があること、病理検査に提出することができないことなどがあります。

手術時間
切除法 (局所麻酔) 30分程度
くり抜き法 10分程度
レーザー法 10分程度
皮膚腫瘍切除手術の利点と欠点
腫瘍切除術の利点
腫瘍が取れるということと、腫瘍の精密な検査(病理組織検査)ができることです。

腫瘍切除術の欠点
目立ちにくいとはいえ傷痕ができることです。形成外科専門医が極力目立ちにくくなるように努力いたします。
また、体質的にケロイドが生じやすい方はケロイドの発生の可能性があることです。
ほくろ切除の手術費用
項目 | 金額 (消費税込) |
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ほくろ(切除法) | 健康保険適応 |
ほくろ(レーザー法) | 1箇所5,500円 |
良性腫瘍切除術の詳細情報
施術時間 | 30分〜1時間 |
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施術後の通院 | 翌日術後チェック 顔面7日目、その他の部位10日目に抜糸の予定。 |
腫れについて | 2週間程度腫れがあります |
カウンセリング当日治療 | 基本的に不可 感染症の血液検査結果があれば可能 術部位により必要 |
入院の必要性 | 不要 |
麻酔 | 局所 |