上顎骨・下顎骨分節骨切り術(セグメンタールオステオトミー)とは
上顎分節骨切り術は、いわゆる出っ歯の治療で、前歯の部分を後方に移動させることにより突出感を改善させます。また、下顎分節骨切り術は、歯科矯正の必要がない受け口の治療法のひとつです。
奥歯の咬合はぴったり合っているが、前歯が出ている状態を上顎前突(出っ歯)と言います。奥歯の咬合は合っているものの、下前歯が上前歯より出ている状態を下顎前突(受け口)と言います。上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)を修正するには上顎の分節骨切りあるいは下顎の分節骨切りを別々、または同時に行うことがあります。
奥歯の噛み合わせは良いわけですから、これを修正する必要はないので、前歯(門歯)のみの咬合を修正していきます。ルフォー1型骨切りとSSRO骨切りを行うよりかなり少ない骨切りで目的が達成されます。
上顎と下顎 の第一小臼歯を抜歯し、その幅で歯槽骨を切除し、ブロックとなった門歯を後方へずらし固定します。

上顎骨・下顎骨分節骨切り術の欠点と利点
上顎骨・下顎骨分節骨切り術のメリット
上顎骨・下顎骨 分節骨切り術(セグメンタールオステオトミー)では、奥歯の噛み合わせに変化がないため、咬合が合わせやすくなります。

上顎骨・下顎骨分節骨切り術のデメリット
奥歯の噛み合わせも矯正したい場合には、上顎骨・下顎骨骨分節骨切り術(セグメンタールオステオトミー)では無理があります。
上下の歯曹とも、第一小臼歯しか抜歯しないわけですから小臼歯の幅分しか移動ができません。とはいえ、この程度の移動で通常は十分です。
上顎骨・下顎骨分節骨切り術の手術時間と術後経過
上顎骨・下顎骨分節骨切り術(セグメンタールオステオトミー)の手術は、全身麻酔下で3時間程度が必要です。
手術後暫くの間は出血がありますが、徐々に減少していき、ます。口腔内と鼻腔から若干の出血があり、これが自然のドレナージになります。
手術後は、静脈麻酔と鎮痛剤で痛みのコントロールを行います。
手術翌日の夕刻に退院できます。退院時はフェイスバンドの着用をします。フェイバンドは、5〜7日間ほど着用してもらいます。フェイスバンドを外せば洗顔洗髪は可能です。しかし、術後の安静と固定のためなるべくフェイスバンドは着用し続けてください。
口唇がかなり腫れることがありますが、10日ほどで改善してきます。
口腔内の違和感や口唇周囲の感覚鈍麻が現れますが、2~3ヶ月で徐々に改善します。

上顎骨・下顎骨分節骨切り術のアフターフォロー
お食事は、暫くの間柔らかいものを摂ってください。歯磨きはできれば水歯ブラシを使用しましょう。
口腔内の清潔に留意し、よくうがいを行ってください。退院後はシャワー浴は良いのですが、入浴で体を温め過ぎないようにしましょう。
術後、上下の口唇に痺れが残ることが多いです。しばらく我慢が必要です。

上顎骨・下顎骨分節骨切り術の手術の実際

上下左右の第一小臼歯の抜歯
口腔内の切開で主に歯茎の骨の骨膜を剥離し、顎骨を露出して骨切除を行います。
上顎骨・下顎骨分節骨切り術(セグメンタールオステオトミー)に先立って、上下左右の第一小臼歯を抜歯しておきます。
fig1.切開予定線(上下左右の第一小臼歯は抜歯)
下顎の分節骨切り術(主に受け口の矯正に効果を発揮します)
fig2.第一小臼歯の抜歯と骨切り
下顎の分節骨きり術(上顎前突(出っ歯)に効果を発揮します。)
fig3.下顎を奥にずらして固定
上顎骨・下顎骨分節骨切り術の詳細情報
施術時間 | 3時間程度です。 |
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施術後の通院 | 術後2週間目に状態観察、その後2ヶ月後にチェックを行います。咬合チェックは、随時行います。 |
腫れについて | 口唇の腫れは10~14日程度で、口唇周囲の硬さの改善には2ヶ月程度を要します。 |
カウンセリング当日治療 | 不可 |
入院の必要性 | 必須 |
麻酔 | 全身麻酔 |
洗顔・洗髪・シャワー浴 | 手術次の日から可 |
リスク(合併症・副作用 等)
感染 | 細菌やウイルス等による炎症。 |
血腫 | 術後、皮下や臓器からの出血が起こり、血液が貯留することです。 |
出血 | 術後やや多い量の出血を見ることです。 |
内出血 | 術後概ね起こる皮下の血液の組織への浸透で、自然に吸収されます。 |
瘢痕(創跡) | 全ての皮膚切開創は、多少の傷痕が残ります。肌質的に目立つ人もいます。 |
肥厚性瘢痕(ケロイド) | 傷痕の中でも、膨らみや硬さが強いものです。原因は遺伝性で、防止は困難ですが、治療法がございます。 |
色素沈着 | 瘢痕の一つですが、色素(メラニン)の沈着が主な原因です。 |
アレルギー | 薬剤が原因のものが多いのですが、金属やテープ等でも発症することがあります。 |
予定形態との差 | なるべく患者さまの意見は取り入れるようにしますが、完全な表現は無理がある場合があります。 |
微妙な左右不対称 | 人間の体は左右不対称であるため、手術後にも左右不対称は起こりえます。 |
気道閉塞 | 主に血腫が気道周囲に溜まり、気道を圧迫することがあります。 |
瘢痕(口腔内) | 頤(おとがい)部の口腔内に、白く目立つ瘢痕が残ることがあります。 |
神経麻痺 | 頤神経や歯茎周囲の神経が麻痺し、感覚鈍麻やしびれ感が出ることがあります。 |
上下口唇の感覚異常 | 口唇のしびれや感覚鈍麻が数ヶ月続くことがあります。 |
上顎骨・下顎骨分節骨切り術の手術費用
項目 | 治療内容 | 金額 (消費税込) |
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上歯槽骨分節骨切り術 | 上歯槽骨の前後移動 | 1,210,000円 |
下歯槽骨分節骨切り術 | 下歯槽骨の前後移動 | 990,000円 |
上下顎セットバック | 上下歯槽骨の前後移動・咬合適合手術 | 1,870,000円 |
美容的要素のあるものは自費になります。
上顎骨・下顎骨分節骨切り術の症例
症例1 典型的な下顎(あご)前突の症例(いわゆる魚口(口ボコ)の症状)
口元が上下とも前に突出した症例です。いわゆる魚口(口ボコ)の症状です。上下とも歯槽骨を骨切りして奥に移動しました(セットバック術)。

術前

術後

術前

術後

術前

術後
この症例の価格
上顎骨・下顎骨分節骨切り モニター 193.6万円(税込)(全身麻酔、入院費用別途 33万円税込)
この症例のリスク・副作用
感染、血腫、左右差、表皮の歪み、顔の変形、歯列の変化、咬合不全