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豊胸術(コヒーシヴ・シリコンプロテーゼを使用)

手術のポイント

  • 大胸筋下ではなく大胸筋膜下または大胸筋膜上(乳腺下)の大きく広い剥離
  • 内視鏡下手術による剥離部位の確認と止血の確認
  • 厚生労働省認可のアラガン製ナトレルプロテーゼの使用
  • 硬膜外麻酔を伴う全身麻酔下での手術
  • サクションドレーンの留置

ナトレルプロテーゼを使用した豊胸術の手術手技

麻酔

基本的に麻酔科専門医による胸椎の硬膜外麻酔を含む全身麻酔が一般です。患者さんは術後の疼痛を軽減できるだけでなく、手術中の精神的安静が確実にえられます。もともと健康な患者さんなので入院は1日で十分でしょう。手術後すぐに帰宅させるのはかなり問題があると我々は考えています。

豊胸術のデザイン

  1. まず、インプラントするナトレルプロテーゼの直径(A)の決定です。 それには、乳頭から乳房の最も下を意味する乳房下線までの距離と個人的に異なる胸郭の横の長さを計り、そこから、各患者さまにピッタリしたナトレルプロテーゼの直径を割り出します。
  2. 乳腺下の剥離範囲ですが、下方は乳房下線(C)より2〜3cm下方まで、 上方は鎖骨のした5cm程度まで、内側は胸骨の中心から1〜2cm、外側は腋窩中線(D)まで、なるべく広範囲に剥離する計画を立てます。


  1. ナトレルプロテーゼの種類を選択します。ラウンドタイプの場合、その直径は乳頭から乳房下縁までの距離と胸郭の大きさから選び出し、乳房の大きさを規定する乳房の高さはプロテーゼのプロジェクション(高さ)から選択します。

ナトレルプロテーゼはその形態と直径、高さから、40種類以上の種類が存在します。その中からあなたにビッタリのプロテーゼを選択できるようになっています。

豊胸術での切開位置
豊胸術での切開位置

豊胸術での切開位置

腋窩(えききゅう)切開

最も多く利用される切開です。傷痕が目立たないとされていますが、実際は女性はわきを出す事もあり、一概に傷痕が目立たないとは、いいきれません。
剥離(はくり)は、乳房下線切開より困難になります。特に下方の剥離や内側の剥離が不十分になりがちで、内視鏡が必須になる理由です。

乳房下切開

以前は、この切開法が多く利用されました。傷痕が目立つという理由で最近では敬遠されがちですが、安全ということでは歓迎すべき手術法です。ポンポコリンおっぱいを含む豊胸術の後の変形に対するリカバリー手術では、この部位での切開しか対処できません。


豊胸用プロテーゼ挿入のための乳腺下の剥離

専用内視鏡
専用内視鏡

皮膚の切開線から脂肪層を超え大胸筋筋膜の上に至ります。筋膜上を5〜6cmの範囲を鈍的に注意深く剥離していきます。ある程度剥離を終えたら、内視鏡を挿入します。


周囲を観察し出血の無いことを確かめます。出血がある場合は、電気止血器で十分止血を行います。
続いて、電気メスを使い丁寧に乳腺下を剥離していきます。剥離層が正しければ乳房下線程度までは容易に剥離ができます。もちろん出血があれば直視下に丁寧に止血を行います。



内視鏡を利用するとTVモニターで直視できるため、出血や筋肉の状態や神経の走行を確認しながら手術が遂行できます。盲目的手術に比べると安全性が格段に高くなります。

こうして、インプラント予定のナトレルプロテーゼの直径よりかなり大きな広い空間を乳腺下に形成します。
この空間の中をインプラントされたナトレルプロテーゼは上下左右に移動するため、新しく形成された乳房は柔軟性を保つことができます。
また、この空間を維持するためには、毎日欠かさぬ軽いマッサージが大切になります。


ナトレルプロテーゼの挿入

内視鏡下に乳腺下が十分広く剥離され、左右が対称であることを確認します。最後に出血の確認を行うと、剥離下内空を抗生剤等で十分洗浄し、サクションドレーン(吸引ドレーン)を挿入しておきます。

予め選択されたサイズのナトレルプロテーゼを切開創から挿入します。この時乳腺下の空間で挿入されたプロテーゼはある程度自由に動かなくてはなりません。

ナトレルプロテーゼ
ナトレルプロテーゼ


ナトレルプロテーゼを挿入するところ

乳腺下にブレスト・インプラントを 入れた乳房

サクションドレーンの挿入と手術創の縫合

サクションドレーンは、必要欠くべからざる処置です。

手術直後の広い空間には貯留液や若干の血液が溜まるものです。これをしっかり抜いておくと後日癒着が少ない良い形態を得ることができます。
ドレーンは手術後1〜2日で抜去します。


豊胸術と乳房再建は別物の手術!!

乳房再建では乳腺、脂肪組織、一部の皮膚組織など、軟部組織をかなり切除してしまいます。不足した皮膚や筋肉は皮弁や筋皮弁、あるいは植皮を利用して、他の場所から組織を移動したり、組織拡張期(ティッシューエキスパンダー)で皮膚や軟部組織を拡張させてそれを補います。

そして、乳房再建用のアナトミカルタイプのナトレルプロテーゼを移植します。この際、移植したナトレルプロテーゼはその形を維持させるため、マッサージ等でプロテーゼを組織内で移動させることはしません。むしろ、プロテーゼをその場に固定する事がポイントになります。

通常の豊胸術では、乳房の柔らかさと自然な形態のためマッサージを強要しますが、乳房再建では、乳房のマッサージはむしろ禁止事項となるわけです。
豊胸術と乳がん手術後の乳房再建のための乳房形成はまったく「別物の」手術であることを知って下さい。

組織拡張期(ティシューエキスパンダー)を利用した、2期的豊胸手術とは

もともとかなり小さな乳房の持ち主であれば、いきなりプロテーゼを移植して乳房を大きくしようとすると。不自然な「パンパン」な丸すぎる乳房になってしまうことが多いのです。
また、ご自分の乳房の軟部組織の許容範囲を超えた大きな乳房を作ろうとすると、かならず、「ポンポコリン」おっぱいになってしまいそうです。
そこで、乳房再建で使用する組織拡張器(ティッシューエキスパンダー)を利用して、3〜6ヶ月間で皮膚や脂肪組織など軟部組織を拡張増加させておく、というテクニックがあります。

ポンポコリンおっぱいの例1
ポンポコリンおっぱいの例2

この場合、第一期手術では、通常の乳腺下剥離をおこない、プロテーゼの代わりに、ティシューエキスパンダーを挿入します。



ティシューエキスパンダーは後日、皮下に埋め込んだリザーバーに生理食塩水を注入することで、その体積を徐々に大きくすることができるのです。概ね1週間に1回片方50〜100ccの生理食塩水を追加注入していきます。

     

十分組織を拡張できたら(500〜1000cc)、しばらくそのままにしておきます。(2〜6ヶ月)
時期を見計らって、二期的手術を行います。この時の手術は、十分大きな空間ができたカプセルに通常のナトレルプロテーゼを入れ替える作業になります。つまり、合計二回の手術で豊胸術を完成させるのです。

術前

術後


術前

術後


      
    

手術時間と術後の経過

全身麻酔下の手術で、内視鏡を使用して注意深く剥離していきますので、手術時間は3時間程度かかります。
入院中は硬膜外麻酔を留置しておきますので、術後疼痛は殆どありません。
手術翌日に硬膜外麻酔を抜き退院できます。
手術後2〜3日は、胸部を包帯で軽く圧迫します。術後4日以降はバストバンドで乳房上部を圧迫するだけになります。術後10日程度で全抜糸を行います。この頃より、内部のプロテーゼを優しくマッサージしプロテーゼ皮膜が癒着しないように心がけます。
術後2週間を過ぎる頃よりマッサージはゆっくり穏やかに、毎日行うように指導していきます。これは生涯にわたって毎日行うように説明しています。
脇や乳房下の傷痕は、術後1〜2ヶ月目まではかなり赤く盛り上がる傾向にあります。個人差が大きいのですが、ケロイド体質でない限り、1年から2年程度で薄い一本の線に変化して、目立たなくなります。特に脇の下ではわきの下にある特有のしわの影に隠れ、かなり目立たなくなるものです。

アフターフォロー

退院後は安静を心がけましょう。
3〜5日後に包帯を外しバストバンドに替えます。この頃からシャワー浴が可能になります。
術後10日で抜糸になりますが、この頃に医師による軽いマッサージを行います。術後2〜3週間後以降はご自分でのマッサージを毎日続けましょう。強くマッサージする必要はありません。中にあるプロテーゼを軽く移動させたり多少回転させたりする程度で十分です。これで、プロテーゼの入っているカプセルの面積空間を広く大きな物として維持できるはずなのです。

豊胸術の手術費用

項目 金額
(消費税別)
豊胸術(両側)・乳房下線切開法 (アラガン社製コヒーシブシリコーンプロテーゼ(厚労省認可品)2コ使用)全身麻酔・硬膜外麻酔1日入院込み  100万円
豊胸術(両側)・腋窩切開法 内視鏡手術(アラガン社製コヒーシブシリコーンプロテーゼ(厚労省認可品)2コ使用)全身麻酔・硬膜外麻酔1日入院込み 120万円

ナトレルプロテーゼを使用した豊胸術の詳細情報

施術時間 3〜6時間
施術後の通院 手術日より1〜3日後に消毒等で来院。7〜10日後に抜糸。
腫れについて 腫れて大きく感じた乳房は2ヶ月ほどで計画した大きさになっていきます。
傷痕は2〜3ヶ月目がもっとも硬くなり赤黒く線状に目立ちますが、1年程度で目立たなくなります。
カウンセリング当日治療 不可
入院の必要性 必要
麻酔 手術法による(局所・静脈・全身麻酔)
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